対談企画!「就学後の子育てについて」


あんずぽこ<不登校を考える>対談企画!

 あんずぽこの理事長でスクールカウンセラーをしている河村と、あんずぽこ保護者会員の吉山さんが「就学後の子育て」について対談しました。


子どもの就学後によく親が困らされる「学校の宿題をしない」といった身近な話題から、教育の課題を考えます。きっと皆さんの子育てのヒントになるはずです。

ぜひ、読んで一緒に考えてみてください。

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河>・・・河村理事長、吉>・・・吉山さん


河>学校の宿題をしなくて困っているというお母さんがときどきいはるんやけど、他の人はどうなんかなあって。

吉>私、職場にちょうどそういう人いましたよ。子どもがドラマばっかり見ててぜんっぜん宿題しないんだって。もうお父さんものすごく腹が立って宿題ビリビリにしちゃったんだって。

河>ふふふ。

吉>それはもう、その時点で何かのサインなんだからそういう専門の人に相談した方がいいよ、って言ったんですけど、しないんですよね。そうじゃないって感じ、ていうのかな。

河>だから「学校」ね、私達の知っている「昔の、当たり前の学校」から、子どもがちょっと外れようとし始めているんだと思うんだけどね、その「当たり前」の中に押し込もうと、親はね、必死になってる感じがしてね。

じゃあ「当たり前」はホントに「当たり前」なのかと。それを無くそうという学校(※1)がちょこちょこ出てきたりしているんだけど、でもそれに気がついていない人があまりにも多くて、「何か自分の子育てがマズイ」とかね、「ここはしつけだから。」とか言って無駄な労力を使って。結局、子どもを虐待してますよ、コレ。

吉>うーんまあそうですかね。ある意味?

河>ほんとに。広い意味で虐待ですよ。後世(そんな虐待があったと)言われるんじゃないかと。

だって昔は尻叩いて、叩いて、育てるのがしつけみたいなことをみんなが認めてたのにね、まあ叩くといってもあそこまで叩かなくていいのに、と思うような人がいはるけど、学校の指導でも、廊下で立っておきなさい、とかね。

吉>あーありましたねー。

河>そんなん学校の風景の一つみたいな感じで言われてきたことが、今そんなことしたら大問題でしょ?

私も掃除さぼったからって正座させたことあるからね。したことあるけど、あれは体罰やったなと思う。でもそれって、(当時は)みんなが何かそれぐらい指導せなあかんみたいにね(思っていた)何なんやろね。

だからそのときの自分が一体何を今子どもにさせているのか、掃除は全員でせなあかんのだということを、あんな形(正座)でさせる必要はなかったんやろね。

まあやってる子とやってない子がいたら、やってない子に掃除させないとね。それはもうちょっと民主的にね。子どもの中で「やっぱしそんなんズルイやん」「じゃあどうしたらいいねん」みたいな議論があって、子どもが決めてね、ほなその子らもする、みたいなふうに持って行くべきだったんだろうな、と今だったら思うんですけどね。

でも(学校では)「今日掃除やってなかった人は誰ですか?」とか犯人探しみたいなこと、今でもやっていますよ。

河>今、宿題しないからって、親は必死になって追い掛け回してるけど、宿題をすれば学力がつくとか、勉強の習慣がつくとかいうふうに思ってさせてるんかなと。

であれば、それはそんなことでは習慣にならないし、学力もつきませんよ、と私は思うんですよ。それ以外の狙いは何ですか?

吉>「当たり前」から外したくない、っていうことですよね。

河>そういうことですよね、結局。だったら、実はそこは外すべきなんですよね、多分。

吉>うーん。ただ「当たり前」から外れて、どっちへ行くかっていうのがちょっと見えない、っていうのはありますよね多分。そういう親御さんにしたら。私も教育とかはハッキリ分かってないんだけども、ただ押さえつけるだけが、子どもに力をつけさせる方法ではないっていうことですよね。

河>そうそう。

吉>(子どもに)力がつく方法を、もっと何かいい方法を考えてかないかんということなんでしょうね。

河>うん。学力つけるんなら、もっと授業で勝負せなあかんと思うんですよ。まあ実際そういう先生も今行ってる学校でいてはって

吉>学力つける方法としては先生は授業で勝負する、と。

河>でも学力付くかな、あれぐらいで。付かんでしょ、あんなちょろちょろっと。ま、親にしたら、宿題ってとりかかれば10分くらいで済むんですよね、多分。でも(子どもは)「それをしたくない」って言うてるんやからね、よっぽど「追い詰められた状態」なんですよね。

吉>うーん。なるほどー。

河>なのに、やらそうと追い掛け回して。

吉>もう何と言うか、手段が目的化しているというか「言うことをきかすこと」が目的になっちゃっている?

河>そうなんですよ。結局、言うことをきかなくなって、親はあたふたとするんですよね。逆に学校に行って言う通りにしてたら安心。でもほんまに安心なんか?って(思う)。

吉>んー。そうか。

今の世の中の課題が自分で考えて解決しなきゃいけない複雑なものがすごく増えてるから、そういう「言うことを聞ける人」ばっかりの世の中になったら、何も解決せえへん世の中になっちゃうっていうことなんですかね、多分。

河>うん、そうそう、だから本当は考えて想像する力を養わなあかんのが、学校。

吉>「言うことをきく」力じゃなくてね。育てたいところはそこじゃない、と。

河>そうそうそう。

吉>なんだか人類の進化の課題というか、そんなものを感じます。やっぱり不登校って「単なる本人の心の問題」じゃないなって思っちゃいますね。


※1大阪の「大空小学校」、東京の「麹町中学校」「桜丘中学校」など、子供主体の教育を実践している学校のことを言っています。


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あんずぽこ

ここは学校生活で疲れた子どもたちが安心して過ごせる昼間の居場所です。

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